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ニッサン・インゲル2

アーティスト魂に火がついた初めての水墨画体験

ここ谷中銀座には、「ツーリストインフォメーション YANESEN」という外国人向け観光案内施設があります。 

「YANESEN」の名は、通称〝谷根千〟として知られる台東区から文京区にかけて広がる谷中・根津・千駄木の地名に由来し、日本を訪れる外国人観光客に日本文化を伝える情報拠点として運営されています。インゲル画伯には今回、観光客や居住者向けに開催されている書道・水墨画教室で、水墨画を体験していただきました。教えてくださるのは荻原雪鼓(せつこ)先生です。


 まず教わるのは、抹茶茶碗の描き方。ここには水墨画のもっとも基本的な筆使いの技法があるということで、薄墨を含ませた筆の先端だけに濃い墨を含ませ、筆を寝かせるように横一文字に線を引くと、濃淡のある太い横線が現れます。それを2~3回繰り返すと、みるみるうちにお茶碗が出現。

インゲル画伯は「自分にとってはまったく初めての技法で、とっても感銘を受けました。」といいながら、あっという間に習得してしまわれました。もちろん水墨画には初挑戦の画伯ですが、やはり日ごろから筆を持ちなれているだけあって、とたんに創作意欲に火がついてしまった様子。

まだ、筆使いの基本練習中にもかかわらず、水墨画の筆の触感に刺激されたのか、突然「馬が描きたい!」といって、みるみるうちに一枚の馬の絵を描き上げてしまわれました。 


インゲル流の水墨画も完成して思いがけぬ文化交流も!

インゲル画伯が高名な画家であることをご存知の荻原先生は、画伯の自由な創作欲に任せながら、同時に「笹と雀」「四君子(蘭、竹、菊、梅)」など、水墨画の基本技法を順に指導してくだいます。これらの中にはあらゆる筆使いの基本が入っているとのことで、すべてがうまく描けるようになると一人前なのだとか。

画伯も笹の葉の表現にはたいへん苦労され、「これは家に持って帰って何度も練習しなくては!」と茶目っ気たっぷり。たいへん興味深そうに先生の指導を受けていました。

最大の難関は菊の花です。花びらの形をまとめていくのが非常に難しく、苦労される画伯。それがちょっと難しかったのでしょうか、自ら描きなれた薔薇の花にトライすると、インゲル流の水墨画による大輪の花が咲き、今度は荻原先生から感嘆の声が。さらに荻原先生は、お地蔵様や観音様、歌舞伎「勧進帳」から安宅の関の弁慶などを次々と描かれては画伯にプレゼント。素敵なアートの応酬が展開されました。

画伯の作品は、本来は円筒型のランプシェードにしていただく予定でしたが、さすがに力のこもった画伯の作品。額装したほうが映えるのでは…という荻原先生のご提案で、描かれたものはすべて画伯がお持ち帰りになりました。

いまごろはノルマンディーの画伯のご自宅に、この日描かれた水墨画が飾られているかもしれませんね。