バテュ画伯に聞く

Grass

今回の東京散策では、骨董市でアンティークのグラスをお求めになりましたね。

グラスのコレクションを始めて10年ほどになりますが、東京でこのチャーミングなグラスを見つけられたのは本当にラッキーでした。

厚底のグラスで、ほんの少ししかお酒が入っていなくてもいっぱいに注いであるように見えることから、フランスではこうしてグラスのことを、〝泥棒グラス〟と呼ぶんです。これまで100個くらい集めましたが、すべてスーツケースの中に大切にしまってあります。

時々、形やサイズが違うものを6個から12個くらい取り出しては飾って楽しんでいるんですが、今回手に入れたグラスもその仲間入りです。

紙漉き

紙漉き体験はいかがでしたか?

とても貴重な興味深い経験になりました。何といっても、異なる文化に触れることはインスピレーションを大いにかき立ててくれます。機械があればぜひまた挑戦してみたいですね。

自分で漉いた紙は、もちろん大切にしまってあります。紙というと、どうしても使い捨てにするイメージがありますが、さすがにこれはもったいなくて…。でもいずれは何か素敵な使い方をしてみたいと思っています。

Travel

バテュ画伯は世界各地を旅して回っておられます。旅がご自身の心にもたらしてくれる効果についてどうお感じでしょうか。

世界中を旅して回ることは、何よりも私の好奇心を満たしてくれる最大の喜びです。新しい場所を探索し、新しい人々や文化に触れることで、創造力が刺激され、その後創作活動への肥やしになっていくんです。

一方で、アトリエでひとりで過ごす時間もとても大切なもので、そこはいわば〝自分だけの秘密の場所〟。アーティストとして自分を振り返り、心の整理をしたり、長年愛用している筆や絵の具に思いを馳せてみたり…。そうしたくつろぎの時間を持つことで、再び新しい気持ちでキャンパスに向かうことができるのです。

自分が頭に思い描いていたテーマを、真新しいキャンパスに描き始める瞬間は、それはエキサイティングなもので、、心が大きな喜びと達成感に満たされる瞬間です。


Relax

〝くつろぎ〟という点では、どのような場所にいることが一番のリラックスになりますか。

水辺でしょうか。〝水〟は私の全身全霊をリラックスさせてくれるもので、たとえば水辺で読書をすることなどは大好き。頭上に広がる雲の刻々と表情を変え、とても惹きつけられます。こうして時間と共に変化していく光景を眺めながら過ごしていると、いつまでもその場にとどまって、じっくりと考えやアイディアを練ることができそうな気持ちになっていくのです。